介護職の平均年齢を調査 業界の現状について
この記事では、介護業界の実際の平均年齢や業界全体の現状、長く介護職として活躍するための方法についてご紹介しています。
最後まで読めば、「介護の仕事を始めるのに歳なんて関係ない!」ということが分かります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
介護職の平均年齢はどれくらい?
介護業界は他業種と比べて平均年齢が高いことが特徴の一つです。これは年を重ねてからでも活躍している人が多いということを示しています。
最新の統計情報である、「令和3年度介護労働実態調査(公益財団法人 介護労働安定センター)」によると、介護労働者全体の平均年齢は47.7歳でした。
一方で、「令和3年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)」では、全業種の平均年齢が43.4歳であると発表されています。
業界で活躍している人の平均年齢が高いということは、歳を重ねてからでも十分に活躍できるチャンスがあるということです。
子育てや家族の介護などで一度仕事を辞めた人や、セカンドキャリアとしての就職先を探している人にとっても有力な選択肢にもなります。
介護職の平均年齢について調査
介護労働者の男女比や平均年齢について「令和3年度介護労働実態調査(公益財団法人 介護労働安定センター)」で確認しました。
結果として女性の割合が71.1%と圧倒的に多く、平均年齢では男性が42.3歳、女性が49.2歳でした。
※介護労働者とは、介護職以外の介護福祉に関わる様々な職種を含んでいます。
性別/項目 | 男 | 女 | 全体 |
性別比 | 19.8% | 71.1% | ― |
平均年齢 | 42.3歳 | 49.2歳 | 47.7歳 |
令和3年度介護労働実態調査(公益財団法人 介護労働安定センター)
このように、介護労働者は女性の方が圧倒的に多く、平均年齢も高くなっています。
ちょうど子育てがひと段落した方や再就職を考えている女性の方に適している結果になっているとは思いませんか?
家計のためにも資格や経験を活かした仕事をしたいと考えているのであれば、介護職が非常におすすめです。
なお、女性の比率に関しては平成16年度の同調査では女性が82%でした。
徐々に男女比は縮まりつつあることも分かります。
異業種からの転職を考えている男性も、「女性ばかりの職場だと心配で…」と心配する必要はありません。
介護職は重労働です。体力や筋力の面で有利な男性介護職も、きっと頼りにされるでしょう。
介護職の平均年齢 他業種との比較
介護労働者の平均年齢は高いことをご紹介してきました。それでは、介護職と他の職種を比べると、どのような違いがあるのでしょうか?
介護関係に携わる主な職種のうち、最も平均年齢が高いのは介護支援専門員で、第2位は訪問介護員でした。介護職はそれらに続く第3位となっています。
詳細は以下の表をご覧ください。
職種/平均年齢 | 平均年齢 |
介護支援専門員 | 53.3歳 |
訪問介護員 | 50.7歳 |
介護職 | 45.8歳 |
生活相談員 | 45.5歳 |
看護師 | 41.3歳 |
栄養士 | 37.4歳 |
作業療法士 | 35.1歳 |
理学療法士 | 34.8歳 |
令和3年度介護労働実態調査(公益財団法人 介護労働安定センター)
介護支援専門員の平均年齢が高い理由のひとつに、資格を取得するための条件が関係しています。
試験を受けるためには、特定の国家資格に基づく業務経験が5年必要になっているからです。
訪問介護員の平均年齢が高い理由は、その業務内容にあります。
利用者の自宅を訪問し、身体介護だけではなく掃除や調理などの家事援助も実施する機会があるからです。
家事のベテランが重宝されることから、平均年齢が高くなる傾向があります。
介護業界の現状
近い将来、介護職が不足すると試算されていることは周知の事実です。
この章では、介護業界の現状について「要介護者の増加」と「介護従事者の社会的価値」という2つの観点から解説していきます。
要介護者の増加
要介護者の数は、年々増加しています。
介護保険制度が始まった2000年から今に至る22年間で何らかの要介護(要支援)認定を受けている人は2.75倍も増えています。
この増加に対して晩婚化や出生率が下がっていることが、超高齢社会と呼ばれる社会課題の原因です。
厚生労働省が発表している「介護保険事業状況報告」によると、介護保険制度が始まった2000年時点の第一号被保険者の数は2,242.2万人(22,422,135人)、要介護(要支援)認定者は247.1万人(2,470,982人)でした。
しかし、最も新しい資料である「介護保険事業状況報告月報(暫定)令和4年6月版」では、第一号被保険者の総数が3589.8万人(35,898,110人)、要介護(要支援)認定数は681.8万人(6,817,817人)となっています。
2000年 | 2022年6月(暫定版) | |
第一号
被保険者数 |
22,422,135人 | 35,898,110人 |
要介護(要支援)
認定者数 ※第一号被保険者 |
2,470,982人 | 6,817,817人 |
このように要介護者は毎年増え続けているため、介護業界の人手不足に拍車をかけている現状があるのです。
介護従事者の社会的価値
厚生労働省は、2023年度には約22万人、2040年度には約69万人の介護職が不足すると試算しています。
このことからも、年々介護従事者の社会的価値が増していることは火を見るよりも明らかな事実です。
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、現在の日本の高齢化率は28.9%となり、国際的に見ても例を見ないペースで増えています。
全職業の有効求人倍率が1.03倍であるのに対し、介護関係職種の有効求人倍率は3.64倍と常に高水準の状況です。
社会構造の変化という視点から見ても、多世代が同居する世帯が減り、核家族化が進んだことがポイントです。
親と別々に暮らす家が増えた結果として「親は子供(嫁)が介護する」という考え方が古いものとなってきています。
介護に関する価値観の変化と共に介護保険制度が始まったこともあり、介護サービスを利用する人は急速に増えました。
このように、介護は「家族」が背負うものではなくなりました。介護を「社会全体」で支えていく構造へと変化していることが、介護従事者の社会的価値を高め続けている理由です。
介護職の平均年齢 歳をとっても長く活躍するために
介護職の平均年齢は高いです。
社会的にも重要な立場である介護職を長く続けるためには、次の3つのポイントが重要になります。
チームのまとめ役・若手の育成
自身の健康管理・希望に合わせた働き方
この章では、介護職を長く続けるためのポイントについてご紹介します。
利用者さんとのコミュニケーション
ポイントの1つめは、利用者さんとのコミュニケーションを大切にすることです。
そもそもコミュニケーションの目的は、相手の訴えに寄り添って傾聴して想いを受け止めることにより信頼関係を築くことです。
特に認知症の方は自分の想いをうまく伝えることが難しいだけでなく、相手が話している言葉を理解することも困難な場合があります。
このため、介護職によるコミュニケーションの支援が重要になります。
実際に、認知症による介護抵抗や徘徊などは行動・心理症状と呼ばれ、環境の整備やコミュニケーションの方法を工夫することで解決したり緩和したりすることが可能な症状です。
体力面ではキツい場面が増えてきても、社会経験を活かしたコミュニケーション力を磨くことにより、介護現場の中心として活躍することができるでしょう。
チームのまとめ役・若手の育成
ポイントの2つめは、チームのまとめ役となって若手の育成に力を入れることです。
歳をとるにしたがって夜勤が大変になったり、移乗や入浴の介助に限界を感じたりすることが増えるでしょう。
しかし、ベテラン介護職員の存在価値は別にあります。それまで培ってきた経験や知識で、介護現場のリーダとしてチームを引っ張っていくことが期待されています。
仕事がうまくいかずに心が折れそうになっている新人職員を励ましたり、若手の育成に注力して施設全体の質を底上げを図ったりするのもベテラン介護職の重要な役割です。
自身の健康管理・希望に合わせた働き方
ポイントの3つめは、自身の健康管理をしっかりすること・希望に合わせた働き方ができる環境を整えることです。
介護職は早朝からの勤務や夜勤など、不規則なシフト制の勤務が多く体内時計が乱れがちです。
また、体力的にも負担が大きく腰・肩・膝・手首等に痛みを訴える人も目立ち、健康管理や家庭との両立が難しくなって介護職を辞める選択をする人が多いのが現実です。
休みの日は積極的に運動や日光浴をして体内時計を整えたり、痛みを感じたらすぐに受診して肉体疲労をケアしたりして、健康管理に努めましょう。
また、シフト制の勤務がキツいと感じたら上司に働き方について相談したり、夜勤がない通所系の施設や家事援助メインの訪問介護事業所に転職したりするという方法もあります。
歳をとっても長く介護の現場で働くためには、無理をしすぎないようにするということも重要な考え方です。
介護職の平均年齢は他業界より高い 活躍できるチャンスあり
介護職の平均年齢は他の業界と比べて高いです。だからこそ、「今からでも大丈夫かしら?」と考えるあなたでも十分活躍できるチャンスがあります。
介護職は社会的にも必要とされている職業のひとつですし、工夫すれば歳をとっても長く介護現場で働き続けることが可能です。
介護業界を支えるため、ぜひあなたの力を貸してください!